【お正月に関すること】

お正月はどうしておもちをたべるの?(2年生 T.Y.さん)

【かいとう】日本ではむかしから米が大切にされ、おめでたい日である「ハレ」の日には、おすし・お赤はんを作ったり、「もち」という名前のついた、きょうどりょうりやおかしが作られてきました。

とくに、もち米で作った「おもち」はお正月に食べる人が多いよね。

 

日本には年が明けるとかみさま(「年がみさま」)が来るので、「年がみさま」をむかえられるように「おおみそかまでにその年の地産(ちさん)のものをおそなえしましょう」という考え方がありました。

 

とくに、米で作られたもちは、とてもすばらしい食べものと考えられていたので、年がみさまがおもちにやどると考えられていたようです。

 

このためお正月になると、そなえたものを下げて年がみさまがやどった「おもち」を食べたようです。

また、その土地でとれた物をなべでにて食べたのが雑煮(ぞうに)だと言われています。

 

【せつめい】

○歯がためのぎしき

お正月におもちを食べるようになったきっかけとして、「歯がためのぎしき」というぎしきもあるようです。

「歯がためのぎしき」は、1000年も前から、貴族(きぞく)が行っていたぎしきで、お正月に「歯でかみきれないくらいかたいものを食べて、じょうぶな歯で長生きすることをねがう」というぎしきです。

このとき、かたいかがみもちを食べていたんだって。

お正月になると、かがみもちをかざるよね。

かたみもちは、年がみさまがやどるというのと、歯がために食べるというのと、2つのいみがあったんだろうね。

 

〇ぞうに

いろんな具材(ぐざい)をに合わせて煮雑ぜ(にまぜ)たことがはじまりで、お雑煮(おぞうに)とよばれるようになったんだって。

場所や家によって具材(ぐざい)も味(あじ)もちがっているけれど、幸をもたらしてくれるお祝(いわ)いの食べ物であるぞうにに「おもち」を入れて食べるよね。 

 

ぞうにを食べる時に使うはしは両はしが細くなっているやなぎばしで、片方は人が使い、もう一方はかみさま用で、かみさまにささげたものを分け合って食べるという意味があるんだって。


お正月にはどうしておとし玉がもらえるの?(2年生 T.Y.さん)

なぜおとしだまがもらえるのですか?(2年生 T.S.さん)

【かいとう】

お年玉とは、御歳魂(おとしだま)ということばから来ていてるんだって。

むかし、ほとんどの日本人はかみさまを信じていたんだけど、お正月にはかみさまが来ると思っていたそうだよ。

御歳魂(おとしだま)というのは、お正月にかみさまをむかえるためのおそなえのおれいに、かみさまが、その家の代表(だいひょう)の人に新しい魂(たましい)をあたえるということ。

このおかげで一年ぶじにすごせると考えられていたそうだよ。

 

新しい魂(たましい)をもらった家の代表(だいひょう)の人が、家族(かぞく)にお金や記念品(きねんひん)としてわけてあげる、これが今のお年玉みたいだよ!

 

すこしややこしいけど、かみさま⇒家の代表⇒家族へと、「ありがたいもの」がわたされることになってていた、ということかな!

 

【せつめい】

〇お年玉

今はお金をもらうのが一般的だけど、昔はおもちだったんだって。

おもち=たましいだと思われていたので、生きる力を表していたそうだよ。

だから、年の初めに「としがみさま」から新年のたましいを分けていただく、つまり、毎年一年分の力を授(さず)かるってことだよね。

 

ちなみに、おもちの入ったうどんのことを、「力うどん」って言うの知ってる?

おもちは「生きる力」だから、「力うどん」なんだろうね。

 

〇お年玉のれきし

いつから始まったかははっきりとはわかっていないんだけど、江戸(えど)時代にはおもちだけではなく品物やお金をわたしていたそうだよ。

 

昭和30年代くらいから、お金をわたすことが主流(しゅりゅう)になったといわれているよ。


おしょう月の名の由来(3年生 K.H.さん)

【かいとう】

お正月の「正」の字は、「あらためる」という意味がある漢字だよ。

1年のはじまりである1月を「年をあらためる月」として、正月と呼ぶようになったといわれているよ。

 

【せつめい】

〇お正月をおいわいする理由

「としがみさま」をむかえ、歳(とし)をとることをお祝(いわ)いし、稲(いね)や作物がたくさんみのるようにいのる行事です。

(むかしは、生まれた日ではなくて、1月1日に年を取ると言われていたんだよ)

 

ちなみに正月は、三が日(1月1・2・3日)から松の内(元日から7日、もしくは15日まで)までのことだよ!1月15日のことを「小正月」(こしょうがつ)というよ。

 

〇お正月の名前の由来について、ほかの説

中国・秦(しん)の始皇帝(しこうてい。2200年くらい前の、中国の最初の皇帝。「政」という名前だった)の生まれた月を「政月(セイグヮツ)」と呼んだことから、それが変化(へんか)して「正月」となったという説もあります。

セイグヮツ→ショウガツ…どうだろう?


お正月でおせちをなぜ食べるの?(3年生 K.H.さん)

お正月には、なんでおせちを食べるの?(3年生 N.M.さん)

【かいとう】

「おせち」とはきせつの節目(ふしめ)に当たる「節(せち)」の日をさす言葉だよ。

平安時代、正月を含む5つの節に「五節会(ごせちえ)」のぎしきを行い、特別な料理である「御節供(おせちく)」を神にそなえていました。

      

やがて、御節供(おせちく)はもっとも大切な正月の料理を指し、「おせち」と呼ばれるようになりました。おせち料理は、正月から7日または15日の「松の内(まつのうち)」までの来客に出すため、もてなし自体を「おせち」や「おせちふるまい」という場合もあります。

 

【せつめい】

〇おせち

元日にとしがみさまをおむかえし、1年の豊作(ほうさく)と家族の安全をおいのりするためなんだ。おせち料理は「御節(おせち)」と書き、「お節供(おせちく)」の言葉が由来になっています。

「今年も家族みんなが一年間、けんこうで幸せにくらせますように」という強い願いが込められた縁起(えんぎ)の良い料理なんだよ。

料理にもそれぞれ意味がこめられているんだよ。

・黒豆→無病息災(むびょうそくさい)…邪気払い(じゃきばらい。悪いものがつかないようにする)と、黒く日やけするほどマメに、まじめにたくさん働(はたら)けるように

・くりきんとん→豊(ゆた)かな一年をねがう(漢字では「金団」と書く)

・昆布巻(こんぶま)き→喜ぶ(よろコブ。ダジャレだね)という意味とか、子孫繁栄(しそんはんえい)を願う(昆布は「子生」とも書ける)

・エビ→不老長寿(ふろうちょうじゅ):エビのように、こしが曲がってヒゲがのびるまで長生き

・だてまき→知性(ちせい)のあらわれ:形が巻物(まきもの)ににているため、知識(ちしき)がふえるように

いろんな意味の料理があるから、ぜひ調べてみてね!

 

〇節(せち)

 1月7日の七草、3月3日の雛(ひな)祭、5月5日の端午(たんご)、7月7日の七夕(たなばた)、9月9日の重陽(ちょうよう)の5つの節句のことを五節句といってお祝いしているよ。


なぜ凧を「たこ」というんですか(3年生 I.S.さん)

【かいとう】

「たこ」とよばれるようになったのは、言いわけがもとになっているかららしいよ!

 

もともとはイカににているから「いかのぼり」または「いか」とよばれていたんだ。

たしかに、凧上げ(たこあげ)の凧は、四角くて2本の足みたいなのが下にのびていて、タコよりもイカににてる気がするよね。

 

江戸(えど)時代にたこあげ(当時は、「いかのぼり」)は大人気だったのですが、仕事をさぼったり、大きなたこが家や畑に落ちてこわれたり、大名行列に落ちるなど、じこがたくさんあったんだ。さらに、たこあげをするひと同士(どうし)がケンカをして、けが人や死者がでることもあったから、江戸(えど)ばくふが「いかのぼり禁止令(きんしれい)」を出したんだ。

 

江戸(えど)の人たちは、たこあげができなくなるとこまるので「いかではなくたこだ!」と言いわけをしたことから、関東(かんとう)地方では「いか」ではなく「たこ」とよばれるようになったといわれています。

また、今の京都や大阪あたりにライバルいしきを持った江戸っ子たちがイカではなくタコとよぶようになった、という説もあるみたいだよ。

 

【せつめい】

〇たこのれきし

たこは平安時代より前に中国から伝わってきたんだよ。

江戸時代では、たこあげにむちゅうになる人が多すぎてきん止れいもでるほど。ケンカだこといって、たこに刃をしこんで相手のたこ糸を切るものもできたんだって。

落ちてきたら怖いよね。今も、愛知県田原市というところでは、たこでけんかするお祭りがあるよ。

 

蕪村(ぶそん)という人のはい句に「凧(いかのぼり)きのふの空のありどころ」ともよまれていて、いかのぼり(たこあげ)をする人が多かったことが分かるよね。

 

〇いかのぼりきん止れい

1655年にばくふより、「町中にてのイカノボリをあげることをきんず」とのきん止れいが出た。ところが、次の年には「町中にてのたこあげをきんず」と再度きん止れいが出ているんだ。

 

「イカじゃなくてタコだよ」っていう人が、とても多かったんだね…。


なんでたこをあげたりお年玉をくれるのかしりたいです!(2年生 M.M.さん)

【かいとう】

お正月にたこをあげる理由にはいくつか説があったよ。

 

①↑で説明した江戸(えど)ばくふが「いかのぼり禁止令(きんしれい)」を出したにもかかわらず、いかではなくたこだと言ってたこあげをする人がいたので、参勤交代(さんきんこうたい)がないお正月ならやってもいいよという案(あん)がだされたそうだよ。そこからお正月の遊(あそ)びになったといわれているよ。

 

②江戸(えど)時代に男の子が生まれた家では、その子の健康(けんこう)をいのったり厄除(やくよ)けの意味(いみ)をこめて、お正月にたこをあげる風習(ふうしゅう)があったから。

 

③むかしから「立春(りっしゅん)の季(き)に空に向くは養生(ようじょう)のひとつ」と言われていたからだそう。空を見上げながらたこを上げることで健康(けんこう)をいのっていたそうだよ。

むかしは新年が立春(りっしゅん:2月4日ごろ)のころだったため、新春(しんしゅん)=正月なので、お正月にたこあげをするといわれているよ。

 

お年玉についてはこちら

 

【せつめい】

〇たこあげをする時期

江戸(えど)時代から人気で、場所によってはお正月以外でもたこあげがされていたんだよ。

明治(めいじ)時代からお正月にするのが主流(しゅりゅう)になったみたい。

 

〇参勤交代(さんきんこうたい)

関東(かんとう)の大名(だいみょう) は半年ごとに、そのほかの大名(だいみょう)は1年おきに、領地(りょうち)住まいと江戸住まい(参勤:さんきん)を交代して行わなければならない制度(せいど)です。大名が、国もとと江戸との間を行き来するときは、たくさんの家来(けらい)をつれていたので、大名行列(だいみょうびょうれつ)とよばれる長い行列(ぎょうれつ)ができたそうだよ。

 

参勤交代の時には大名が行列するから、大名行列にたこがおちてきたらたいへん。だから、参勤交代がないお正月だけたこあげしてもいい、ということになったのかも。